テクノロジーが日々進化し続ける現代社会の中で、私たちはどのように人間らしさを保ち、サステナビリティと向き合っていけば良いのでしょうか。この大きな課題を皆さんと共に考えるため、廃材でできた「詩人ロボット」を渋谷・Bunkamuraに設置いたします。チェコを代表する作家カレル・チャペックが約100年前に発表し、テクノロジー誤用への警鐘を鳴らした戯曲『ロボット(R.U.R.)』から着想を得て制作されたものです。ロボットはガチャガチャになっており、100円で手にできるカプセルにはチェコの詩人が現代社会に向けて綴った詩と、チェコの国樹であるボダイジュの種が入っています。忙しい生活の中でも、少し足を止めて言葉に触れ、命を育ててみませんか。
「人間がロボットになりかけている今、ロボットだって詩人になれる。」
チェコセンター東京によるこの「街角詩人ロボット」プロジェクト は、詩というクリエイティブな方法で、日本の公共空間でチェコおよびEUの価値観に触れる機会を作り、デジタル化が進む現代社会における生き方について考えるきっかけを作ろうとするものです。
本企画は、チャペックの戯曲『ロボット(R.U.R.)』で「ロボット」という言葉が使われてから100年を 機にアイディアが生まれました。そして、チェコ共和国が EU理事会議長国 を務める期間にあわせ、命題のひとつであるサステナビリティやエコロジーに関連した企画として実現したものです。
本企画においてチェコの詩が担っているのは、ヨーロッパ文化の中でも確固たる位置を占める生きた文化的・知的遺産としての役割です。このプロジェクトのためにチェコの若手詩人16名が、デジタル社会におけるヒューマニズム、現実と仮想空間、持続可能な開発、あるいはエコロジーをテーマにした作品を提供してくれました。
詩を配るロボット「HELENKA CZYAD2022」(通称ヘレンカ)は廃材から作られたもので、チャペックが遺したテクノロジー誤用への警鐘を表していると同時に、普段詩に触れることのない層にも親しめる存在となっています。
プロジェクトの実現にあたり 横浜美術大学 に共同主催者として、ロボットオブジェのデザイン、制作をはじめ、多方面でご協力いただいています。
詩の感想や種の発育の様子など、ぜひSNSでハッシュタグ投稿をお願いします! #RobotPoet
街角詩人ロボット
~人間がロボットになりかけている今、ロボットだって詩人になれる~
日程:2022年7月29日(金)~8月28日(日)
設置場所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F ブックショップ ナディッフモダン
※ロボットが設置されるブックショップ ナディッフモダンではチェコ書籍コーナーが設けられるほか、関連トークイベントも開催予定です。(8月5日更新:関連イベントの情報をページ最下部に追加しました。)
※今後、たまプラーザ駅(横浜市)周辺ほかでも実施予定です。
詩: アルジュビェタ・スタンチャーコヴァー(Alžběta Stančáková) アンナ・ガジオヴァー(Anna Gažiová) アンナ・ジェズニーチコヴァー(Anna Řezníčková) ヴァシリオス・ハレプリス(Vasilios Chaleplis) ヨナーシュ・ズボジル(Jonáš Zbořil) ルボミール・チヒー(Lubomír Tichý) オンドジェイ・マツル(Ondřej Macl) ラデク・シュチェパーネク(Radek Štěpánek) シモン・ライトゲプ(Šimon Leitgeb) ヴォイチェフ・ヴァツェク(Vojtěch Vacek) アナ・ルニャーコヴァー (Anna Luňáková) ベルナルデタ・ババーコヴァー(Bernardeta Babáková) クラーラ・クラーセンスカー(Klára Krásenská) マグダレナ・シプカ(Magdalena Šipka) ミハエラ・ホリノヴァー(Michaela Horynová) テレザ・シュストコヴァー(Tereza Šustková)
訳: 豊島美波 ことたび 藤井萌 佐藤徳子 ※スザンナ・ロート翻訳コンテスト に過去参加いただいた皆さまに翻訳いただきました。
翻訳監修:ブルナ・ルカーシュ(実践女子大学)
企画・主催:チェコセンター東京
プロジェクトパートナー:横浜美術大学、Bunkamura、ナディッフモダン、東急株式会社、チェコ生命科学大学プラハ、フラデツ・クラーロヴェー ビジュアルアート高等学校
企画・協力:横浜美術大学
ロボットオブジェデザイン・制作、回収ボックスデザイン・制作、ポエムイラスト:横浜美術大学 ロボットデザイン:赤星雄貴
ポスター イラストデザイン:ドロタ・シュヴォルチーコヴァー(Dorota Švorčíková / フラデツ・クラーロヴェー ビジュアルアート高等学校)
企画背景
テクノロジーは日々進歩し続け、私たちの日常生活にも深く浸透しています。現実世界とデジタル世界の境界線はますます曖昧になってきています。現代を生きる私たちは、テクノロジーの急成長がもたらす利便性や効率性に慣れています。現代社会では、「退屈」という言葉が少しずつ意味を失いつつあります。私たちがどこにでも持ち歩くスマートフォンは、私たちをいつでもデジタルネバーランドに引き込むのです。しかし、こうした発展には陰の部分もあります。人間はロボットではないので、時間効率を絶えず追い求めたり、気晴らしや娯楽を無限に求めると、ツケが回ってくることになります。人間はロボットのようになりつつあります。最も大事なのは効率と生産性、次いでチャットアプリやゲーム、仮想世界、ソーシャルメディアなどの無限に続く刺激。退屈はもってのほかです。退屈すると、立ち止まり、自分の行動の意義を考えてしまい、不快な思いをする人もいるかもしれません。そして、不快なことは現代人の生活には不要なのです。
しかし、忙しすぎると人は足を止めません。ぼんやりと過ごしたり、アートを楽しんだり、考えたりする時間を作ることもしません。そして人間にとって大事なものをなくしてしまうのです。想像力、創造性あるいは共感力、さらには自分の感情に気づき理解する能力まで。人々を揺さぶり起こし、少なくとも数分は目を開けさせて、人間という存在の美しさを見せること、これが詩人にとっての課題です。そして、人間がロボットになりかけている世界では、ロボットだって詩人になれるのです。
カレル・チャペック Karel Čapek (1890-1938)
チェコの作家、劇作家、評論家。ロボットという言葉を生み出したとされる戯曲『ロボット(R.U.R.)』や『山椒魚戦争』などのSF作品で知られるほか、『長い長いお医者さんの話』『園芸家の一年』など、童話やエッセイなど数多くの作品を世に残した。日本でも多くの邦訳が出版されている。